「健康診断を実施したけれど、結果報告書は絶対に提出する必要があるの?」と疑問に思っている企業の方はいらっしゃいますか?
健康診断について、どのような決まりがあるのかは、従業員を雇う上できちんと知っておきたいポイントです。
そこで、こちらの記事では健康診断結果報告書の提出義務や報告書の種類、作成のポイントについて詳しく紹介します。
健康診断結果報告書について詳しく知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
健康診断結果報告書の提出は義務
結論からお伝えすると、従業員人数が五十人以上の企業の場合、健康診断結果報告書は法律で提出が義務付けられています。
提出の際に注意するポイントもあるので、以下で解説します。
提出期限は特別決められてはいない
健康診断結果報告書は、提出は義務付けられていますが、いつまでに提出しないといけないかということまでは特に決められていません。
また、提出しなかったらどうなるか、というような罰則も特別明記はされていないです。
とはいえ、「遅延なく提出すること」は求められているので、健康診断の実施から最長でも3ヶ月までには提出したいところです。
長く未提出の場合労基から注意される可能性も
もし、3ヶ月を超える長期の間未提出だった場合、労働基準監督署から注意される可能性もあるので、迅速に提出しましょう。
なお、年末に健康診断が実施された場合、暦年集計するため、なるべく早めに提出する必要があります。
遅くとも3月15日までに提出が必要なので、きちんと提出することを覚えておいてください。
健康診断結果報告書の種類
続いては、法律で提出が義務化されている健康診断結果報告書の種類を紹介します。
義務化されている健康診断には、「一般健康診断」と「特殊健康診断」があり、どちらにも属さない「その他」の健康診断もあります。
それぞれの内容を確認していきましょう。
一般健康診断
一般健康診断の中に、以下の種類の健康診断があります。
種類 | 対象者 | 実施時期 | 提出部数 |
雇用時の健康診断 | 常時使用する労働者 | 雇入れの時 | 2部 |
定期健康診断 | 常時使用する労働者 | 1年以内ごとに1回 | 2部 |
特定業務従事者の健康診断 | 労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に常時従事する労働者 | 左記業務への配置替えの時と、6ヶ月以内ごとに1回 | 2部 |
海外派遣労働者の健康診断 | 海外に6ヶ月以上派遣する労働者 | 海外に6ヶ月以上派遣する時と、帰国後国内業務に就かせる時 | 2部 |
給食従業員の検便 | 事業に附属する食堂または炊事場における給食の業務に従事する労働者 | 雇入れの時と、配置替えの時 | 2部 |
特殊健康診断
続いて、特殊健康診断には以下の種類があります。
種類 | 対象者 | 実施時期 | 提出部数 |
有機溶剤等健康診断 | 屋内作業場等における有機溶剤取扱い業務に常時従事する労働者 | 雇入れの時や、配置替えの時、6ヶ月以内ごと | 2部 |
鉛健康診断 | 鉛取扱い業務に常時従事する労働者 | 雇入れの時や、配置替えの時、6ヶ月以内ごと | 2部 |
四アルキル鉛健康診断 | 四アルキル鉛取扱い業務に常時従事する労働者 | 雇入れの時や、配置替えの時、6ヶ月以内ごと | 2部 |
特定化学物質健康診断 | 特定化学物質取扱い業務に常時従事する労働者 | 雇入れの時や、配置替えの時、特化則別表第3の中欄に掲げる期間以内ごと | 2部 |
高気圧業務健康診断 | 高気圧室内業務又は潜水業務に常時従事する労働者 | 雇入れの時や、配置替えの時、6ヶ月以内ごと | 2部 |
電離放射線健康診断 | 放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入る者 | 雇入れの時や、配置替えの時、6ヶ月以内ごと | 2部 |
除染電離健康診断 | 除染等業務に常時従事する労働者 | 雇入れの時や、配置替えの時、6ヶ月以内ごと | 2部 |
石綿健康診断 | 石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者及び過去に従事したことがある在籍労働者 | 雇入れの時や、配置替えの時、6ヶ月以内ごと | 2部 |
じん肺健康診断 | 新たに常時粉じん作業に従事する労働者 | 就業の時 | 3部 |
常時粉じん作業に従事している労働者 | 管理区分1の場合3年以内ごと | ||
管理区分2、3の場合1年以内ごと | |||
常時粉じん作業に従事させたことがあり、現在は粉じん作業以外の作業に従事 | 管理区分2の場合3年以内ごと | ||
管理区分3の場合1年以内ごと |
また、これらの他に、「歯科医師による健康診断」や「指導勧奨による特殊健康診断」などもあります。
これらの健康診断については、健康診断結果報告書の提出が義務となっているので、対象者がいる企業の方はしっかりと把握しておきましょう。
定期健康診断結果報告書の作成内容
それでは、定期健康診断結果報告書を作成する際に記入する必要がある内容を確認していきます。
定期健康診断結果報告書には、以下の内容を記入します。
- 労働保険番号
- 対象年、健診年月日
- 事業の種類、名称、所在地
- 在籍、受診労働者数
- 労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に従事する労働者数
- 健康診断項目
- 所見のあった者の人数
- 医師の指示人数
- 産業医、事業者職氏名、労働基準監督署長名
定期健康診断結果報告書のテンプレートは、厚生労働省のホームページからダウンロード可能です。
記入の際は、A4のコピー用紙に印刷し、黒のボールペンを使用してください。
また、後述しますが、現在は手書きでの提出だけでなく、インターネット上で提出できるサービスもあるため、より手軽に提出できるようになっています。インターネットから提出したい方は、ぜひチェックしてみてください。
健康診断結果報告書の提出先は?
先ほども書いたように、健康診断結果報告書は手書きで作成して直接か郵送で提出する方法の他に、e-Gov電子申請を使ってインターネットから提出する方法もあります。
それぞれの方法について、詳しく解説していきます。
労働基準監督署に直接か郵送
健康診断ごとの専用のフォーマットをダウンロードし、必要事項を手書きで記入して、所轄の労働基準監督署に直接持っていくか、郵送する方法です。
また、厚生労働省の「入力支援サービス」を利用すれば、印刷して手書きで記入しなくても、インターネット上でテンプレートに入力することができます。
入力できたものを印刷すれば、そのまま提出できるので便利です。
e-Gov電子申請
インターネットから申請がしたいという場合は、「e-Gov電子申請」を利用するのがおすすめです。
e-Gov電子申請は、各省庁が所管している行政手続きを、インターネット上でいつでもどこからでも申請できる便利なサービスとなっています。
直接提出する場合、労働基準監督署が開いている時間に持っていく必要がありますし、郵送する場合も郵便局やポストに持っていく必要があります。
それに対して、e-Gov電子申請を利用すれば、24時間いつでも、どこにいても健康診断結果報告書が提出できるのが魅力です。
申請状況をマイページで確認できるので、きちんと提出できたかをすぐに確認できるのもメリットの1つです。
健康診断結果報告書は迅速に提出しよう
こちらの記事では、健康診断結果報告書の提出義務や、報告書の種類、提出の際のポイントについて解説しました。
提出は義務付けられているとはいえ、定められた提出期限はありません。とはいえ、遅延なく提出することは求められているので、なるべく迅速に提出するのが大切です。
提出が義務付けられている企業の方は、ぜひ参考にしてみてください。